今回は化学品などを扱う専門商社、三洋貿易(3176)について、【定量分析】をガチでやっていこうと思います!
まずは基本情報:三洋貿易ってどんな会社?
三洋貿易は、ゴムや化学品、自動車部品、科学機器などを世界中から仕入れて国内企業に販売する独立系の専門商社です。ニッチな分野で高い専門性を持っているのが特徴ですね。
1. 安定した成長性!5期連続増収
まずは会社の「稼ぐ力」。商社でありながら、安定して成長を続けています。
| 決算期 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 |
|---|---|---|---|
| 2022年9月期 | 1073億円 | 53.2億円 | 62.2億円 |
| 2023年9月期 | 1205億円 | 65.3億円 | 70.9億円 |
| 2024年9月期 | 1293億円 | 70.7億円 | 79.1億円 |
| 2025年9月期(予) | 1320億円 | 71.0億円 | 75.0億円 |
5期連続で増収を達成しており、成長性は非常に高いです。来期(2025年9月期)の経常利益が減益予想なのは、前期にあった為替差益(約4.7億円)がなくなるから。本業の儲けである営業利益は増益予想なので、事業自体は堅調そのものですね。
2. 財務は健全そのもの!
専門商社は在庫とかもあって財務が悪化しがちですけど、この会社は違います。
【深掘り】投資家目線のネットキャッシュはどうなの?
財務の安全性を測るもう一つの指標「ネットキャッシュ」も見てみましょう。これは、会社の時価総額に対して実質的な現金がどれくらいあるかを示す指標です。
計算してみると、三洋貿易のネットキャッシュ比率は約0.95倍。
これ、理想とされる「1倍超え」に極めて近い、異常なレベルの割安状態です。「会社の値段と、会社が持っている実質的な現金がほぼ同じ」ってことですからね。これ以上ないほどの安全性を誇っていると言っていいでしょう。
3. 株主還元の「約束」が最強!『累進配当』宣言
今回の分析で一番のポイントがコレ!三洋貿易の株主還元策は、まさに「株主還元の模範」と言えるレベルです。
| 決算期 | 1株配当 | 増減 |
|---|---|---|
| 2023年9月期 | 43円 | ↑ |
| 2024年9月期 | 55円 | ↑ |
| 2025年9月期(予) | 57円 | ↑ |
2025年9月期でなんと13期連続の非減配(減配しないこと)となる見込み。美しい右肩上がりの配当実績です。
そして何よりすごいのが、会社の方針です。
「配当性向30%以上を目途に、累進配当を継続してまいります」
出ました、『累進配当』!
これは、「業績が悪化しない限り、絶対に減配はしません!(維持か増配しかしません)」という、株主への超強力な「約束」です。これを公言している会社は、長期投資のパートナーとして絶大な信頼が置けます。
4. 今の株価は明らかに割安!
じゃあ、これだけ良い条件が揃っているのに、今の株価は割安なんでしょうか?
2025年9月期の会社予想EPSを元に計算すると、PERは約9.5倍、そしてPBRは0.92倍です。
(EPS 170円、株価1612円で計算)
ROE(自己資本利益率)が10%を超える優良企業が、PER1桁、PBR1倍割れ。どう考えても「割安」ですよね。累進配当という鉄壁のディフェンスがあることを考えれば、この株価水準は非常に魅力的です。
【定量分析まとめ】安心して持てる高還元バリュー株
さて、数字だけでこの会社を見てきましたが、いかがでしたか?
結論としては、「安定成長を続ける優良企業が、PBR1倍割れという割安な株価で放置されている。その上、『累進配当』という最強の株主還元策を約束しており、長期投資における安心感は群を抜いている」というのが、数字から見える姿です。
次の記事では、この素晴らしい数字の裏にある「物語」や「成長戦略」といった【定性分析】をやっていくんで、そっちもぜひ読んでみてくださいね!